子どもの予防接種について

副院長・小児科科長 岡田 靖医師

免疫を作り、病気を予防する大切なワクチン接種。

しかし、多くの子育てママが種類の多さやスケジュールの複雑さに戸惑っています。

ワクチンの効果や接種時期などについて、勤医協札幌病院小児科の岡田靖医師に聞きました。

(道央健康友の会新聞 2019年月号より)


病気にかからないための「免疫」はどのように?

病気にかからないための「免疫」はどのように?

ウイルスや細菌に感染すると身体の中に、その病気に対する抵抗力(免疫)がつきます。

あらかじめ病原性をなくしたり弱くした病原体(ウイルスや細菌)を体内に入れて予防的に免疫を作るのがワクチン接種の意義です。

「病気にかかれば免疫ができる」とか「感染症が流行していないなら接種しなくてもよいのでは」という声を聞きます。

しかし、感染症にかかることで髄膜炎になったり、脳炎や肺炎などの合併症を起こす危険もあります。

また、まわりの人に病気を広げてしまうこともあります。

このようなリスクを考えると、ワクチンで予防するのが最善の方法です。

「副反応」が起きる場合もあると聞きましたが?

「副反応」が起きる場合もあると聞きましたが?

ワクチン接種後にいろいろな症状が起きることがあります。

たとえば、軽い発熱や腫れ、アレルギー反応などです。

ほとんどが2~3日で自然に改善しますが、ごくごくまれにアナフィラキシーショックや脳炎、脳症など重い症状が生じることもあります。

それでも、私たちが積極的にワクチンをお勧めするのは、リスクよりも感染症を予防する利益の方が圧倒的に大きいからです。

感染症の流行が減少すると、副反応によるデメリットがクローズアップされる傾向にあります。

予防接種の意義やリスクをしっかり理解して判断することが必要です。

症状と頻度については厚生労働省のホームページで調べることができますし、接種により健康被害が生じた場合は法律に基づく救済制度もあります。


ワクチンはいつごろから必要になりますか?

ワクチンはいつごろから必要になりますか?

生後5~6カ月までの赤ちゃんはお母さんからもらった免疫により細菌やウイルスの感染から守られていますが、免疫が落ち始めるころから感染症にかかりやすくなります。

この時期までにワクチンの効果を発揮させるためには、生後2か月から予防接種を始めることが大事です。

ワクチンの種類と防げる病気を表にまとめてみました。

法律で決められた定期接種のワクチン(10種類)は、原則として自治体が費用負担するので無料で受けられます。

このほかに、おたふくかぜやインフルエンザなどの任意ワクチンも受けることができます。費用がかかりますが、助成をしている自治体もありますのでお住いの市町村に確認してみてください。



1歳までのスケジュールは?

1歳までのスケジュールは?

必要なワクチンを効率的かつ安全に接種するためには、図のように生後2か月目から計画的な接種をおすすめします。

複数のワクチンを同時に受けることが一般的になっています。

接種を予定していた日に発熱したり、急性疾患にかかっている場合は受けられないこともあります。

再予約するなど、接種機会を逃さないよう注意しましょう。


任意接種のワクチンでも受けた方が良いのですか?

任意接種のワクチンでも受けた方が良いのですか?

任意接種のワクチンも、重要性は定期接種のワクチンと同じです。予防できる病気にかからない、もしかかっても軽くすませるためにも受けたほうが良いと思います。

将来、これらのワクチンは定期接種となる可能性がありますので、国や自治体に費用助成を求めていくことも必要です。

勤医協札幌病院でもこれらのワクチンが受けられますが、BCGだけは保健センターでの接種になります。

予約での接種もおこなっていますのでご利用ください。

ワクチンに関するご相談にも応じます。くわしいスタッフが対応しますので、気軽にご連絡ください

小児ワクチンについてのお問合せ

小児ワクチンについてのお問合せ

小児ワクチンについては、小児ワクチンのページに詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。


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