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高齢の女性は注意!「骨盤臓器脱」の予防と治療について

「骨盤臓器脱」を知っていますか。あまり知られていない病気ですが、出産経験のある女性の約4割が発症するといわれ、つらい症状で悩まれている方がたくさんいます。勤医協札幌病院産婦人科の西岡利泰医師に話を聞きました。                                                               (道央健康友の会新聞 2018年11月1日号より)

骨盤臓器脱とは?

何年も我慢・羞恥心は禁物

子宮、膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が外に出てくる女性特有の病気です。

これらの臓器は筋肉を中心とする骨盤底によって支えられています。

しかし、出産や加齢などによって骨盤底が傷むと臓器が下がりやすくなります。下がってくる臓器によって、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤などと呼びます。

受診された方からは「何年も我慢していた」という話をよく聞きます。発症率の高い病気ですが、恥ずかしさから受診していない方が多いのが実情です。

どんな症状か?

陰部にピンポン玉のようなものが触れる、座るとボールの上に座っている感じがする、何か挟まっている感じがすると訴える方が多いです。違和感だけでなくトイレが近い・尿漏れ・尿が出にくい・便秘など、排尿や排便にも支障をきたします。

症状が軽いうちはお腹に力が入った際に体外に飛び出す程度です。しかし、重症になると常に飛び出た状態になり、歩行に支障が出たり、下着にこすれて出血したりすることがあります。また、重力によって下がってくるため、だんだんと症状が悪化してきます。

なりやすい人は?

お産の回数が多く、更年期を過ぎた方は注意が必要です。出産時のダメージに加え、加齢によって臓器を支える力が弱くなっているからです。

また、お腹に力が加わると骨盤底にかかる負担が大きくなるため、重い物を持つ仕事、便秘、肥満の方はなりやすいとされています。

骨盤底を強くする予防と治療

筋肉を鍛える運動を

骨盤底を守るには、踏ん張らないことが大切です。重い物を持たない、トイレに15分以上座らないなど注意が必要です。

物を持ち上げるときは、息をゆっくり吐きながら膝を柔らかく曲げるのがポイントです。血流の悪さも影響するため長時間同じ姿勢で座り続けることも危険です。

骨盤底筋体操は初期治療としても予防としても効果が高いです。

肛門を締める体操、腟と尿道(尿の出口)を締める体操の2つを紹介します。この体操はどんな姿勢でもできますが、背筋は伸ばして行ってください。

肛門を締める体操は呼吸を自然に行い、キューッと2~3秒間、便を我慢するようなイメージで締めます。

その後ゆっくり力を抜きます。腟と尿道を締める体操も同様で、今度はおしっこを途中で止めるようなイメージで前の方を締めます。 

この締める、緩めるを繰り返すことで骨盤底筋を鍛えることができます。1日100回が目標です。




治療や手術で改善可能

外来ではペッサリーと呼ばれるリングを腟内に入れて子宮や膀胱を支える方法があります。

リングで十分に治療できない場合は、手術をします。子宮を取り、弱くなった骨盤底筋を補強する手術です。

お腹を切らない方法のため回復も早く、1週間程度の入院で治療可能です。


ガマンをせず、気軽に産婦人科外来ご相談ください。